しょうがない発言・歴史の再検証

 久間大臣のしょうがない発言はあきれ果てるしかない国民感情と、参院選の追い風に利用しようとする野党勢力で、事態のすべてだ。追加するとすれば、与党自民党と安倍政権の右往左往のあわてぶりぐらいが付録だろう。
 しかし、非核三原則をもつ日本人として、そのもっとも中核の部分には、この被爆体験があるのは議論の余地がない事実で、日本の平和運動はこの敗戦と被爆の経験からスタートしている。その意味では「反核・平和」は野党の旗印ではなく、国論なんだが、そのスローガンだけが先行して「なぜアメリカは原爆を投下したのか?」の原因説明はなおざりにされてきた。発言者の政治的主張からくるところの結論にあわせて、あるときには「アメリカの対ソ戦略」が理由だったり、またあるときには「新技術の人体実験」だったり「米兵の損失を最小限におさえるための便法」だったり「日本の降伏時期を早める作戦」だったり、ほかにも、まだあるのかもしれないが、いろいろな理由が考えられているんだが、決定的な定説と呼ぶようなものはない。再言するが、政治的な説明が横行して、科学的な検証はなおざりにされてきた。
 科学としての歴史の観点からは、これまでの記述は不完全だったといえる。日本の平和運動・反核運動は観念的・政治的で、非科学的で非合理的だった。マスコミ・永田町・ウェッブの、今回の対応もその範囲から一歩も踏み出していなかった。残念である。
 関連して思い出されるのは自民党政審会長の中川昭一の非核三原則のみなおし発言である。あのときも、観念的・政治的な非核三原則ありきの念仏論争ではなく、なぜわれわれは非核政策を選択するのかの議論からはじめないと、北鮮の核武装の現実には対応できないのではないのか?核が乗ったテポドンを撃ち込まれたら、非核三原則が生き残って日本が死滅するのではないのか?神学論争は卒業しようよ、の呼びかけだったと思うのだが、議論の機会は押さえ込まれてしまった。
 ごく常識的に、槍や刀で戦争していた時代には、槍や刀で自衛する。鉄砲や大砲で戦争していた時代には、鉄砲や大砲で自衛する。核で戦争する時代がはじまって、支那人も朝鮮人も核武装をしはじめた。ひとつは、なぜ日本人だけが核保有を拒むのかの理由。ふたつめは、それでも国民が安心できる、核武装にまさる安全保障政策があるのだろうかの説明だと思う。
 ふたつの説明を欠落させた国政選挙で、だれを選べというのだろうか。

この記事へのコメント

  • 志村建世

    私の過去ログを一つトラックバックしようとしましたが、エラーになりました。要は「殺されても、殺さない」を、国の方針にする覚悟があるかということだと思います。
    http://pub.ne.jp/shimura/?daily_id=20070617
    2007年07月03日 14:49
  • 罵愚

     発言者の政治的主張からくるところの結論にあわた一例でしょう。
    2007年07月09日 05:32

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