中国元が、アジアの基軸通貨になる日

 11月30日、朝日新聞朝刊にアジアの国際基軸通貨に関する記事が掲載されていた。ヨーロッパのユーロのようにドルにかわる国際通貨の話題だ。かつて、日本の円がその地位をねらった時期もあったのだが、現在では中国の元が本命だという。いつもながらのヨイショ記事だ。
 円も元も、その実力の根源を日本と中国の経済力にしぼって書いてある。もうひとつ、大事なファクターが抜け落ちているのだが、それは国際基軸通貨を支える軍事力の影響だ。通貨の信用を保証するのは、購買力を保証する経済力と、流通を保証する武力だ。
 ポンドは、かつての国際基軸通貨だったが、その信用は英国海軍の絶対的な武力に負うところがおおきかった。大東亜戦争中にレパルスとプリンスオブウェールスが日本海軍によって撃沈されると同時に、ポンドの信用も海の藻屑となって消えた。戦後、この地域を支配したのが、アメリカの第七艦隊だったから、基軸通貨もドルとなった。
 つまり、日本の円がアジアの基軸通貨になるチャンスは、はじめからなかった。自国の安全保障さえも、アメリカに頼っている日本には、円を基軸通貨にする資格に欠けている。それに、比較して、中国の元は、近い将来アジアの国々に、基軸通貨として、うけいれられるかもしれない。日本国内には、感情にかられて、その事態を好感したり、反発する議論が多いのだが、ここはひとつ、経済問題としてではなく、安全保障の話題としての議論も、重要だと思う。
 もともと元が注目されはじめたのも、中国経済の好調と同時に、とどめを知らない中国の軍事予算の増加と、装備の現代化が理由だ。ドルと元のバランスは、第七艦隊と中国海軍の軍事バランスと同調している。中国艦艇の制海権が確立した海域が、元の流通権だといっていい。
 問題は、その海域の真ん中を、日本経済の生命線とも呼べるシーレーンが貫いている現実だ。いまは、そのシーレーンは第七艦隊によって保護されているのだが、米軍の退潮と同時に、干潟にとりのこされたムツゴロウ状態になってしまう。
 元の国際通貨化よりも、問題はおおきいわけだが、砂のなかに頭をかくしたダチョウのような議論しかしない日本人たちだ。

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